海老原　喜之助　　
　　
１９０４年（明３７）　　鹿児島市に生まれる。
１９１７年（大６）　　　鹿児島県立志布志中学校に入学。
１９２１年（大１０）　　上京し、有島生馬に師事し、川端画学校に席をおく。
１９２２年（大１１）　　志布志中学校卒業。再度上京し川端画学校、アテネ・フラ
　　　　　　　　　　　　ンセに学ぶ。
１９２３年（大１２）　　渡仏、藤田嗣治の許に出入りする。
１９２４年（大１３）　　サロン・ドオトンヌに入選。滞仏中は主としてサロン・ド
　　　　　　　　　　　　オトンヌ、アンデパンダンに作品を発表する。
１９２７年（昭２）　　　サロン・ド・レスカリエ第１０回展に、カンピリ、ジャコ
　　　　　　　　　　　　メッティと３人展をもち、「姉妹ねむる」などを出品。こ
　　　　　　　　　　　　の頃からパリ画壇で存在を注目されはじめ、エコール・ド
　　　　　　　　　　　　・パリの次期の担い手として嘱目される。
１９２８年（昭３）　　　ニューヨークで個展。翌年にも個展を開く。
１９３４年（昭９）　　　帰国。日動画廊で第１回個展開催。以後、継続的に個展を
　　　　　　　　　　　　開く。
１９３５年（昭１０）　　独立美術協会会員となる。第５回独立美術展に「曲馬」を
　　　　　　　　　　　　出品。これ以後、毎回独立展に出品する。
１９４５年（昭２０）　　熊本県湯之児温泉で終戦を迎え、８月人吉市に移る。
１９４６年（昭２１）　　第１回新興日本美術展覧会審査員となる。
１９４７年（昭２２）　　第２回熊日綜合美術展審査員となり「蹄鉄」を特別出品。
　　　　　　　　　　　　以後毎回審査を担当するかたわら特別出品する。
１９５０年（昭２５）　　第１回南日本文化賞を受ける。熊本市に転居。
１９５１年（昭２６）　　第３回日本アンデパンダン展に「スタートへ」「殉教者
　　　　　　　　　　　　（サン・セバスチァン）」（文部省買上げ）を出品。
　　　　　　　　　　　　海老原美術研究所を創立。５３年に一度閉鎖するが、５７
　　　　　　　　　　　　年再び開設する。
１９５２年（昭２７）　　神奈川県立近代美術館において福沢一郎・海老原喜之助展
　　　　　　　　　　　　覧会を開催する。５月サロン・ド・メに招待出品。
１９５４年（昭２９）　　海老原喜之助自選回顧展を熊本で開催。１１月第３回西日
　　　　　　　　　　　　本文化賞受賞。
１９５５年（昭３０）　　熊本市郊外小峰墓地の忠霊塔を飾る「殉教者」のブロンズ
　　　　　　　　　　　　・レリーフを完成。５月第３回日本国際美術展に「靴屋」
　　　　　　　　　　　　を出品、佳作賞を受賞。
１９５６年（昭３１）　　第１回グッゲンハイム国際美術賞展に「船を造る人」を出
　　　　　　　　　　　　品。
１９５７年（昭３２）　　第４回日本国際美術展に「燃える」を出品し、国立近代美
　　　　　　　　　　　　術館賞を受賞。６月第４回サンパウロ・ビエンナーレ展に
　　　　　　　　　　　　デッサン７点を出品。
１９５９年（昭３４）　　第５回日本国際美術展に「蝶」を出品し、最優秀賞を受賞
　　　　　　　　　　　　する。
１９６０年（昭３５）　　第５回日本国際美術展出品作「蝶」により第１回毎日芸術
　　　　　　　　　　　　賞を受ける。
　　　　　　　　　　　　第６回ルガーノ国際版画ビエンナーレ展にリトグラフ５点
　　　　　　　　　　　　を出品。
　　　　　　　　　　　　戦後から１５年におよぶ熊本の生活をきりあげ、神奈川県
　　　　　　　　　　　　逗子に転居。
１９６２年（昭３７）　　国際形象展に同人として参加「夜の彫刻」「走馬燈」「海
　　　　　　　　　　　　浜の蝶」を出品。
１９６３年（昭３８）　　海老原喜之助選自展東京・日本橋・三越で開催。出品は第
　　　　　　　　　　　　一次滞欧時代の作品から近業まで１０８点。
１９６４年（昭３９）　　１５回記念選抜秀作美術展「雨の日」招待出品。
　　　　　　　　　　　　国立近代美術館において「滞欧作とその後」展出品。
　　　　　　　　　　　　前年の自選展ならびに第３１回独立展に出品の「雨の日」
　　　　　　　　　　　　の業績によって芸術選奨文部大臣賞を受ける。
　　　　　　　　　　　　オリンピック東京大会芸術展示「近代日本の名作」展「雨
　　　　　　　　　　　　の日」出品。
１９６５年（昭４０）　　横浜モスクワ経由渡仏。８月２７日帰国。
　　　　　　　　　　　　東京日蓮宗寺院・乗泉寺本堂ガラス・モザイク壁画「合掌」　
　　　　　　　　　　　　完成。　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　画集「海老原喜之助」出版。
１９６６年（昭４１）　　渡仏。藤田嗣治のモンバルナスのアトリエに住む。絵を描く
　　　　　　　　　　　　ことよりヨーロッパ各国の寺院、美術館をめぐる。
　　　　　　　　　　　　１０月８日、帰国。（１１月、海老原美術研究所閉鎖）
１９６７年（昭４２）　　日動画廊で陶彫、油絵、素描を展示する海老原喜之助新作
　　　　　　　　　　　　展開催。
　　　　　　　　　　　　熊本で海老原喜之助展開催。
　　　　　　　　　　　　１０月２５日、渡欧。
１９６８年（昭４３）　　１月、スイス・チューリッヒの病院に入院中の恩師藤田嗣
　　　　　　　　　　　　治に付添う。１月２９日、藤田嗣治死去。このあとの１０
　　　　　　　　　　　　カ月間は藤田家の後始末に忙殺される。
　　　　　　　　　　　　第７回国際形象展「聖像」出品。１１月、サンリスへ旅行
　　　　　　　　　　　　このころ「聖堂」など風景を描く。
１９６９年（昭４４）　　１月、ニース旅行。５月ブルターニュ、ロワール地方旅行。
　　　　　　　　　　　　車で南下途中、遺跡の町シノンで発熱、疲労がひどく、食
　　　　　　　　　　　　べたものを吐く。ブールジュに至る。
　　　　　　　　　　　　６回太陽展「調教師の家族」出品。
　　　　　　　　　　　　７月、東京・銀座弥生画廊、フジキ画廊で海老原喜之助滞
　　　　　　　　　　　　欧小品展開催。
　　　　　　　　　　　　ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグへ旅行。
１９７０年（昭４５）　　３－４月、「サーカス」「サーカス＝白馬」「白い木馬」
　　　　　　　　　　　　などを描く。このころ、疲れがひどくなる。５月、夫妻で
　　　　　　　　　　　　スイス、イタリアを旅行。
　　　　　　　　　　　　第７回太陽展に「サーカス」出品。
　　　　　　　　　　　　ブルターニュ地方を旅行中、エトルタで吐血する。衰弱が
　　　　　　　　　　　　ひどくなる。９月１９日、午前８時３０分（日本時間午後
　　　　　　　　　　　　４時３０分）死去。肺ガンと診定。９月２５日、仮葬儀が
　　　　　　　　　　　　ペール・ラ・セーズの聖堂で行われる。日本政府から勲三
　　　　　　　　　　　　等旭日中綬章が贈られる。１０月１５日、青山葬儀所で独
　　　　　　　　　　　　立美術協会葬が行われる。
１９７１年（昭４６）　　東京・日本橋・高島屋で海老原喜之助展開催。
　　　　　　　　　　　　神奈川県立近代美術館で海老原喜之助デッサン・水彩・版
　　　　　　　　　　　　画展開催。